雨のち虹-お金と不安と仲良くなるためのブログ

お金との付き合い方が下手な私がお金と仲直りする全軌跡。問題の本質はお金ではなかった。

【ハマりました】竜とそばかすの姫、2回観る。

8月に入り、やっと自分の楽しみに目が向くようになりました。で、娘ちゃん連れて「竜とそばかすの姫」を観ました。いやー大号泣でした。


で、置いてかれた息子氏が観たいというので、娘ちゃんと私と3人で再び鑑賞。2回目は泣かなかったけど、ストーリー追いかけて頭が大変だった初回に比べて、シンプルに音楽と映像を楽しめたかも。ストーリーわかった上であの世界に入ると、安心して没入できて良き。


*以下ネタバレ含みます


細田作品特有の、ほんのりした初恋と絡ませた子どもから大人に変わる時期の自己確立ストーリーではあるのだけど、プラス大きな喪失、悲しみ、痛みを乗り越えてゆくことが、全体を流れる重くて深いテーマだろうなと感じます。


6歳で母を失った鈴の10年ちょっと後のストーリーというのは、東日本の震災から10年というのと、なんだか被る。10年経っても消化できない、大切な人の死の「なぜ」。母との思い出につながるため歌えなくなってしまった鈴だけれど、もうひとりの自分が歌姫となり自らの歌によって癒されるんですよね。圧巻でした。


母の死に囚われたまま震えながら苦しみながら歌い出した鈴が、いつしか喪失の痛みよりも「あの子達を助けたい」想いが心の中で勝った時、川に向かった母の想いを理解する。母の行動の「なぜ」が腹落ちした時、癒しが起きた。これを音楽と映像で見事に表現していて、本当に圧巻でした。


私は前夫がガチな虐待環境で育った人だったので、ケイくんトモくん兄弟については「いやいや、そんなに甘く無いよー現実は」なんて正直感じてしまうところもあるのだけど、2回目を観てちょっとその想いにも変化があります。


ケイくんトモくん兄弟も、お母さんを亡くしているみたいです。だとしたらふたりを傷つける父親は、妻を亡くしているわけだ。なんか2回目観た時にね、このお父さんの苦しみと痛みが伝わってきたの。


幼い子どもたちを残して妻がいなくなるってこと。最近ほんと思うんだけど、精神的なストレスって、明らかに女性より男性の方が大きなダメージ食らう気がする。彼なりに大切だった伴侶の喪失に、父親は人が変わってしまったように感じます。「家族を引き離す気か!」というセリフから、大きな喪失と人生への絶望を感じたの。妻がいた頃は、本当はとても優しい父親だったのかなって。


鈴が何も言わずにただ子どもたちと父の間に立つ姿には、父親に対する「責め」ではなく、自らの傷に苦しむ人へのあわれみを感じました。父親が立ち去るしかできなかったのは、誰も触れることができなかった彼の苦しみを鈴がまっすぐ見つめたからだと思います。「バケモノの子」でも一郎彦へのあわれみを感じた。「みんな同じく、心に穴があるんだ。」その眼差しに暖かさを感じます。この親子が喪失の痛み、崩れてしまった家族から解放されることを願ってしまいます。


誰だって、心に大きな傷がつくことがある。でもその傷、あなた1人のものじゃない。ひとりぼっちにならないで。痛みを見せて。


心の傷は、人との触れ合いで癒されていくのかな、なんてことを感じました。